関節外科センター

関節外科センターについて

開設 2014年(平成26年)
目的 関節の痛みで苦しんでおられる方々に質の高い安全な医療を提供する
診療内容 患者様にとって痛みの少ない日常生活の方法を一緒に考えたり、痛み止めの処方やリハビリ、手術など患者様に相応しい治療方法の提案を行っています。

皆さまへ

これまで関節の痛みにより、運動を断念されてきた方や生活に支障のある方などに対し、治療することで痛みの緩和や生活様式の改善が少しでもできるよう努めてまいります。

にしくまもと病院における 関節手術 件数(2022年3月末時点)

①関節鏡手術(1991年~2022年)
2022年度のみ
54件 51名(両膝同時症例 3例)
2023年3月末時点 延べ件数
3,522膝
人工関節手術(2009年~2022年)
2023年3月末時点 延べ件数
1,468件 1,257名(両膝同時症例 205例)
②人工膝関節全置換術(TKA)
2022年度のみ
155件 106名(両膝同時症例 49例)
2023年3月末時点 延べ件数
1,152膝 956名(両膝同時症例 192例)
③単顆人工膝関節置換術(内側UKA)
2022年度のみ
14件 14名
2023年3月末時点 延べ件数
110膝 102名(両膝同時症例 6例)
単顆人工膝関節置換術(外側UKA)
2022年度のみ
1件 1名
2023年3月末時点 延べ件数
5膝 4名(両膝同時症例 1例)
単顆人工膝関節置換術 合計
2022年度のみ
15件 15名
④人工股関節置換術(THA)
2022年度のみ
31件 29名(両膝同時症例 2例)
2023年3月末時点 延べ件数
187股 181名(両膝同時症例 6例)
人工骨頭挿入術(BHA)
2022年度のみ
1件 1名
2023年3月末時点 延べ件数
14股 14名
⑤脛骨骨切り術(2018年~2022年)
2022年度のみ
15件 14名(両膝同時症例 1例)
2023年3月末時点 延べ件数
44件 39名(両膝同時症例 5例)

人工関節手術における両側同時手術開始時期

膝関節 2016年 2月 24日~ 股関節 2016年 11月 2日~

診療内容

痛みの原因

  1. スポーツや運動など使い過ぎによる痛み
  2. 事故などのケガ (外傷)による痛み
  3. 仕事や荷物の上げ下げなど日常生活で関節への負担による痛み
  4. 加齢に伴う骨の老化や関節の異常をきたす病気による痛み
痛みが強くなり、悪化すると…

変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)になる

変形性膝関節症の説明

膝関節における重症度の分類 グレード0(正常)~Ⅳ(末期)

グレード

  1. 正常
  2. 関節間の隙間が狭くなってきている状態
  3. 関節間の隙間が正常より25%狭くなった状態
  4. 関節間の隙間が正常より50~75%狭くなった状態
    狭い部分の外側に骨棘(こつきょく)ができてくる
  5. 関節間の隙間が正常より75%以上狭くなった状態
    骨の形が変形してくる

治療方法

  1. 保存的治療(手術を行わない治療)
    ・痛み止めや炎症を抑える薬の内服、シップなどで痛みを和らげます。
    ・軟骨を保護する目的で、関節部分にヒアルロン酸注射を行います。
    ・関節周囲の筋肉を鍛えるためにリハビリを行います。
    ・歩くことに支障のある方に対しては、膝や足底に装具を付けることもあります。
  2. 再生医療
    今後、膝の痛みに悩んでいる方やスポーツによるケガで早期復帰を目指している方に対する治療方法の 1つとして『再生医療(GPSⅢ療法、APS療法)』を導入しています。
  3. 外科的治療(手術)
    膝関節
    膝関節鏡手術、骨切り手術、鏡視下前十字靭帯再建手術、単顆人工膝関節置換手術、人工膝関節全置換手術
    股関節
    人工股関節置換術、人工骨頭挿入術
    肩関節
    鏡視下腱板修復術、鏡視下関節唇修復術

    ※手術に至るまでの流れを下記に示します。(膝の病気の場合)

膝関節鏡手術

主に、膝関節のクッションの役割をしている半月板(はんげつばん)の処置をします。

正常な半月板

半月板が悪くなっている状態によって、下の手術のどちらかを行います。

骨切り手術

脛骨(すねの骨)の内側を切り広げることで O脚をまっすぐな足に戻す手術方法です。

人工膝関節置換手術

傷んだ関節(軟骨)を人工の関節に置き換える手術方法です。

単顆人工膝関節置換術
膝関節の一部を人工関節に置き換える
人工膝関節全置換術
膝関節の全体を人工関節に置き換える

※膝関節以外にも「股関節」「肩関節」「靱帯・筋肉」の手術も行っております。関節に痛みがある方は、一度『にしくまもと病院 整形外科』を受診してください。

その他の特色

感染症対策

無菌に近い部屋で、特別な手術着を着て手術をします。
人工関節手術における感染率は、0.005% で、全国平均(1.36%)より低い値です。

【 骨・関節術後感染予防ガイドライン2015 参照 】

手術前準備

3Dテンプレート(三次元画像データ)を用いて手術前の計画を立てています。
これにより患者様に適した大きさや設置場所を決めています。

皮膚縫合

縫合には、抜糸が必要ない縫合方法を用いています。
手術後に抜糸による痛みを感じることもなく、傷が開くこともありません。

人工関節カードの発行

人工関節の手術後では、飛行機の搭乗やMRI検査の際に問題が生じることがあります。
カードを持っておくことで、手術の証明になります。必要な方は、病院スタッフまでお申し付けください。

ラピッドリカバリー

ラピッドリカバリーとは、人工関節手術を受けられる患者様の早期回復のためのトータルプログラムのことです。
詳しい内容はパンフレットがございますので、整形外科受診の際にお聞きください。

医師紹介

山口 浩司

病院長/関節外科センター長

山口 浩司ヤマグチ コウジ

1992年卒

平成26年から関節外科センターを開設しております。関節鏡視下手術や人工関節置換術の症例は平成24年の新病棟開設から年々増加傾向にあります。コンピュータ解析による3Dテンプレートを用いての人工関節置換術の術前計画を平成27年から導入し、より正確な手術を提供できるようになっております。平成28年からは両側同日人工関節置換術も開始いたしました。その他スポーツ障害の手術症例も増加しています。
改新したクリニカルパスを使用することで、患者さんには不安なく手術を受けていただけるように、スタッフは治療の標準化、最新化を日々行えるように努めております。
高齢化社会に伴う関節疾患は生活習慣と密接に関わっており、骨粗鬆症対策を無視できないのが現状と考えております。スポーツ活動に由来する障害、外傷では予防やセルフケア指導の重要性も感じております。日常生活の指導から始まり、リハビリテーションを中心とした保存的療法、さらには手術療法、術後のケアまで総合的な治療の提供を目指しております。

専門領域
整形外科
専門医・認定医
  • 日本整形外科学会 専門医、リウマチ・運動器リハ医
  • 日本リウマチ学会 リウマチ専門医
  • 日本骨粗鬆症学会認定医
  • 日本体育協会公認スポーツドクター
所属学会
  • 日本整形外科学会
  • 日本リウマチ学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本骨折治療学会
  • 日本人工関節学会
  • 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会

発表論文

  1. 当院における外反膝に対するTKAについて 外側アプローチの優位性
    山口 浩司(にしくまもと病院 整形外科), 林 茂, 中島 伸一, 橋本 大輔
    日本人工関節学会誌(1345-7608)50巻 Page355-356(2020.12)
  2. 当院における両側同時TKAについて 高度伸展制限膝における両側TKAの優位性
    山口 浩司(相生会にしくまもと病院 整形外科), 林 茂, 中島 伸一, 橋本 大輔, 井 健太朗, 加茂 裕美
    日本人工関節学会誌(1345-7608)49巻 Page585-586(2019.12)
  3. 骨移植を必要とした高度内反膝症例に対するTKA
    山口 浩司(相生会にしくまもと病院 整形外科), 林 茂, 橋本 大輔
    日本人工関節学会誌(1345-7608)48巻 Page235-236(2018.12)
  4. 脆弱性の多発骨折で薬剤性Fanconi症候群が判明した症例
    山口 浩司(にしくまもと病院 整形外科), 林 茂
    日本骨粗鬆症学会雑誌(2189-8383)2巻Suppl.1 Page268(2016.09)
  5. RAの高度の伸展制限に対してハムストリングの筋解離を併用したTKAの経験
    山口 浩司(相生会にしくまもと病院 整形外科), 林 茂
    日本人工関節学会誌(1345-7608)41巻 Page662-663(2011.12)
  6. 単関節炎発症のRA症例 早期鏡視下滑膜切除術と生物学的製剤の併用療法の有用性
    山口 浩司(にしくまもと病院), 林 茂
    日本リウマチ学会総会・学術集会・国際リウマチシンポジウム56回・21回 .2012.03

人工関節置換術について ※テレビ取材放送分

名誉院長/ホスピタウンハウス管理者

林 茂ハヤシ シゲル

1973年卒

専門領域
整形外科
専門医・認定医
  • 日本整形外科学会専門医
  • スポーツ・運動器リハ医
  • 日本医師会産業医
  • 日本リハビリテーション医学会臨床認定医
  • 日本リウマチ学会登録医
所属学会
  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本リウマチ学会