関節外科センターについて(開設2014年)
最新の人工膝関節手術支援ロボット VELYS™ RAS導入しました
人工膝関節置換術を支援する手術支援ロボット「VELYS(ヴェリス) ロボット支援ソリューションVELYS™ RAS」を導入しました。
				VELYS™ RASは、ハイスピードカメラと3軸構造の小型ロボットを搭載し、術前に立てた医師の計画に基づいて、ミリ単位での正確な骨切りやインプラント設置をサポートします。
これにより、手術の再現性と精度が高まり、患者さん一人ひとりに最適化された治療が可能になります。
					
				九州全体でも3番目という早期導入となります。人工膝関節置換術用ロボット支援システムを使用することで従来の医師熟練技術に最先端ロボット技術が加わり、より低侵襲で安全性・安定性の高い手術が実現します。
今後も当院は、地域の皆さまに安心して医療を受けていただけるよう、先進技術の導入と質の高い医療提供に努めてまいります。
VELYS™ RAS 3つの特徴
- 手術室内のワークフローに調和し、コンパクトな設計
 - 術中評価から術後の検証を直感的に可能にしたソフトウェア
 - 術前準備から術後の滅菌洗浄までの一連のワークフローを改善
 
人工膝関節置換術は末期の変形性膝関節症により歩行などに支障をきたした患者様に除痛と膝機能の改善を目的に行う手術であります。当院ではすでに数多くの患者様に受けていただき良好な成績を収めております。人工膝関節置換術において正確に骨を切ることと筋肉や靱帯などのバランスを整えることが重要とされています。
ロボット支援により、さらに手術の精度が向上します。0.5mm、0.5°単位で正確に骨切りを行うことができ、リアルタイムに軟部組織バランスを認識できることで術者が術前に計画した患者様それぞれに最適な手術を行うことができます。また、術後の回復が早くなる点も特筆すべきです。
ロボットは微細な動作を高精度で実施可能なため、 必要以上に周囲の組織にダメージを与えることがありません。 これが術後の回復を早めるだけでなく、 術後の痛み管理においても有利に働きます。 新しい技術の導入により、より良い結果を生み出すことを期待しています。
担当医紹介

関節外科センター長、整形外科部長
岡元 信和オカモト ノブカズ
                令和6年5月よりにしくまもと病院に赴任し、関節外科センター長を拝命いたしました。こちらに来る前は熊本大学病院で下肢グループ長として膝関節疾患を中心に臨床と研究に従事しておりました。なかでも変形性膝関節症をはじめとする変性疾患に対する治療を行ってきました。
                変形性膝関節症は加齢などが原因で、関節のクッションの役割をしている軟骨がすり減ることによって、日常生活や仕事や趣味などで最も重要な歩行という動作を制限してしまいます。その治療には保存的治療(生活指導、薬物療法、装具療法)から手術(人工関節手術、骨切り術)まで様々な治療法があります。まずは保存的治療を行い、残念ながら病状が進行し、保存的治療では効果なく日常生活などに支障をきたしている場合にはタイミングを逃すことなく手術を検討いたします。手術法としては人工関節置換術と関節を温存できる骨切り術があります。人工関節においては全置換術と内側もしくは外側の悪いほうだけ部分的に置換する単顆置換術があり、さらに両側とも悪い場合は相談の上、両側同時置換術も行っています。年齢が比較的若く活動性が高い患者様の場合は骨切り術で、自分の関節を温存して除痛を図ることができる場合があります。患者様と相談しながら適切な治療を提案していきたいと考えています。
            
- 専門領域
 - 整形外科
 
- 専門医・認定医
 - 
					
- 整形外科専門医
 - 指導医
 
 
- 所属学会
 - 
					
- 日本整形外科学会
 
 
人工関節置換手術数 総合計
- 
							
2024年度 件数
- 
											
- 人工関節置換術 合計
 - 244
 - 【内訳】人工膝関節全置換術(TKA)
 - 159
 - 【内訳】人工膝関節単顆置換術(UKA)
 - 48
 - 【内訳】人工股関節全置換術(THA)
 - 37
 
 - 
											
- 膝関節鏡(半月板・滑膜)
 - 70
 
 - 
											
- 肩関節鏡視下手術(腱板修復術)
 - 31
 
 - 
											
- 人工骨頭挿入術
 - 18
 
 - 
											
- 下肢骨切り術
 - 27
 
 - 
											
- 骨接合術
 - 55
 
 - 
											
- 抜釘術
 - 26
 
 - 
											
- ACL再建術
 - 4
 
 - 
											
- 靭帯断裂形成術
 - 1
 
 - 
											
- 腱鞘切開術
 - 17
 
 - 
											
- 手根管開放術
 - 9
 
 - 
											
- その他
 - 48
 
 - 
											
- 整形外科 合計
 - 550
 
 
 - 
											
 - 
							
2023年度 件数
- 
											
- 人工関節置換術 合計
 - 196
 - 【内訳】人工膝関節全置換術(TKA)
 - 153
 - 【内訳】人工膝関節単顆置換術(UKA)
 - 19
 - 【内訳】人工股関節全置換術(THA)
 - 24
 
 - 
											
- 膝関節鏡(半月板・滑膜)
 - 71
 
 - 
											
- 肩関節鏡視下手術(腱板修復術)
 - 30
 
 - 
											
- 人工骨頭挿入術
 - 0
 
 - 
											
- 下肢骨切り術
 - 22
 
 - 
											
- 骨接合術
 - 21
 
 - 
											
- 抜釘術
 - 29
 
 - 
											
- ACL再建術
 - 5
 
 - 
											
- 靭帯断裂形成術
 - 1
 
 - 
											
- 腱鞘切開術
 - 12
 
 - 
											
- 手根管開放術
 - 8
 
 - 
											
- その他
 - 50
 
 - 
											
- 整形外科 合計
 - 445
 
 
 - 
											
 - 
							
2022年度 件数
- 
											
- 人工関節置換術 合計
 - 201
 - 【内訳】人工膝関節全置換術(TKA)
 - 155
 - 【内訳】人工膝関節単顆置換術(UKA)
 - 15
 - 【内訳】人工股関節全置換術(THA)
 - 31
 
 - 
											
- 膝関節鏡(半月板・滑膜)
 - 54
 
 - 
											
- 肩関節鏡視下手術(腱板修復術)
 - 15
 
 - 
											
- 人工骨頭挿入術
 - 1
 
 - 
											
- 下肢骨切り術
 - 15
 
 - 
											
- 骨接合術
 - 26
 
 - 
											
- 抜釘術
 - 11
 
 - 
											
- ACL再建術
 - 3
 
 - 
											
- 靭帯断裂形成術
 - 2
 
 - 
											
- 腱鞘切開術
 - 14
 
 - 
											
- 手根管開放術
 - 10
 
 - 
											
- その他
 - 43
 
 - 
											
- 整形外科 合計
 - 395
 
 
 - 
											
 - 
							
2021年度 件数
- 
											
- 人工関節置換術 合計
 - 175
 - 【内訳】人工膝関節全置換術(TKA)
 - 134
 - 【内訳】人工膝関節単顆置換術(UKA)
 - 20
 - 【内訳】人工股関節全置換術(THA)
 - 21
 
 - 
											
- 膝関節鏡(半月板・滑膜)
 - 54
 
 - 
											
- 肩関節鏡視下手術(腱板修復術)
 - 0
 
 - 
											
- 人工骨頭挿入術
 - 0
 
 - 
											
- 下肢骨切り術
 - 0
 
 - 
											
- 骨接合術
 - 12
 
 - 
											
- 抜釘術
 - 13
 
 - 
											
- ACL再建術
 - 1
 
 - 
											
- 靭帯断裂形成術
 - 0
 
 - 
											
- 腱鞘切開術
 - 15
 
 - 
											
- 手根管開放術
 - 18
 
 - 
											
- その他
 - 29
 
 - 
											
- 整形外科 合計
 - 317
 
 
 - 
											
 
これまでの手術実績につきまして
| 人工関節置換手術数 総合計(2009年~2024年3月) | 1,927件 | 
|---|---|
| 関節鏡手術数 総合計(1991年度~2024年3月) | 3,694件 | 
人工関節手術における両側同時手術開始時期
| 膝関節 | 2016年 2月 24日~ | 股関節 | 2016年 11月 2日~ | 
|---|
診療内容
痛みの原因
- スポーツや運動など使い過ぎによる痛み
 - 事故などのケガ (外傷)による痛み
 - 仕事や荷物の上げ下げなど日常生活で関節への負担による痛み
 - 加齢に伴う骨の老化や関節の異常をきたす病気による痛み
 
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)になる
変形性膝関節症の説明
膝関節における重症度の分類 グレード0(正常)~Ⅳ(末期)

グレード
- 0正常
 - Ⅰ関節間の隙間が狭くなってきている状態
 - Ⅱ関節間の隙間が正常より25%狭くなった状態
 - Ⅲ関節間の隙間が正常より50~75%狭くなった状態
狭い部分の外側に骨棘(こつきょく)ができてくる - Ⅳ関節間の隙間が正常より75%以上狭くなった状態
骨の形が変形してくる 
治療方法
- 保存的治療(手術を行わない治療)
・痛み止めや炎症を抑える薬の内服、シップなどで痛みを和らげます。
・軟骨を保護する目的で、関節部分にヒアルロン酸注射を行います。
・関節周囲の筋肉を鍛えるためにリハビリを行います。
・歩くことに支障のある方に対しては、膝や足底に装具を付けることもあります。 - 再生医療
今後、膝の痛みに悩んでいる方やスポーツによるケガで早期復帰を目指している方に対する治療方法の 1つとして『再生医療(GPSⅢ療法、APS療法)』を導入しています。 - 外科的治療(手術)
						
- 膝関節
 - 膝関節鏡手術、骨切り手術、鏡視下前十字靭帯再建手術、単顆人工膝関節置換手術、人工膝関節全置換手術
 
- 股関節
 - 人工股関節置換術、人工骨頭挿入術
 
- 肩関節
 - 鏡視下腱板修復術、鏡視下関節唇修復術
 
※手術に至るまでの流れを下記に示します。(膝の病気の場合)
 

膝関節鏡手術
主に、膝関節のクッションの役割をしている半月板(はんげつばん)の処置をします。
正常な半月板

半月板が悪くなっている状態によって、下の手術のどちらかを行います。
						
						骨切り手術
脛骨(すねの骨)の内側を切り広げることで O脚をまっすぐな足に戻す手術方法です。
						骨を切る場所の確認
						骨を切り、広げる
						広げた状態で固定する
人工膝関節置換手術
傷んだ関節(軟骨)を人工の関節に置き換える手術方法です。
- 単顆人工膝関節置換術
 - 膝関節の一部を人工関節に置き換える
 
					
					- 人工膝関節全置換術
 - 膝関節の全体を人工関節に置き換える
 
					
					※膝関節以外にも「股関節」「肩関節」「靱帯・筋肉」の手術も行っております。関節に痛みがある方は、一度『にしくまもと病院 整形外科』を受診してください。
その他の特色
感染症対策
無菌に近い部屋で、特別な手術着を着て手術をします。
人工関節手術における感染率は、0.005% で、全国平均(1.36%)より低い値です。
【 骨・関節術後感染予防ガイドライン2015 参照 】
手術前準備
3Dテンプレート(三次元画像データ)を用いて手術前の計画を立てています。
これにより患者様に適した大きさや設置場所を決めています。
					
					
					皮膚縫合
縫合には、抜糸が必要ない縫合方法を用いています。
手術後に抜糸による痛みを感じることもなく、傷が開くこともありません。
人工関節カードの発行

カードを持っておくことで、手術の証明になります。必要な方は、病院スタッフまでお申し付けください。
ラピッドリカバリー
ラピッドリカバリーとは、人工関節手術を受けられる患者様の早期回復のためのトータルプログラムのことです。
詳しい内容はパンフレットがございますので、整形外科受診の際にお聞きください。
医師紹介

病院長
山口 浩司ヤマグチ コウジ
1992年卒
平成26年から関節外科センターを開設しております。関節鏡視下手術や人工関節置換術の症例は平成24年の新病棟開設から年々増加傾向にあります。コンピュータ解析による3Dテンプレートを用いての人工関節置換術の術前計画を平成27年から導入し、より正確な手術を提供できるようになっております。平成28年からは両側同日人工関節置換術も開始いたしました。その他スポーツ障害の手術症例も増加しています。
 改新したクリニカルパスを使用することで、患者さんには不安なく手術を受けていただけるように、スタッフは治療の標準化、最新化を日々行えるように努めております。
				
 高齢化社会に伴う関節疾患は生活習慣と密接に関わっており、骨粗鬆症対策を無視できないのが現状と考えております。スポーツ活動に由来する障害、外傷では予防やセルフケア指導の重要性も感じております。日常生活の指導から始まり、リハビリテーションを中心とした保存的療法、さらには手術療法、術後のケアまで総合的な治療の提供を目指しております。
			
- 専門領域
 - 整形外科
 
- 専門医・認定医
 - 
					
- 日本整形外科学会 専門医、リウマチ・運動器リハ医
 - 日本リウマチ学会 リウマチ専門医
 - 日本骨粗鬆症学会認定医
 - 日本体育協会公認スポーツドクター
 
 
- 所属学会
 - 
					
- 日本整形外科学会
 - 日本リウマチ学会
 - 日本骨粗鬆症学会
 - 日本リハビリテーション医学会
 - 日本骨折治療学会
 - 日本人工関節学会
 - 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会
 
 
発表論文
- 
				
- 当院における外反膝に対するTKAについて 外側アプローチの優位性
 - 山口 浩司(にしくまもと病院 整形外科), 林 茂, 中島 伸一, 橋本 大輔
 - 日本人工関節学会誌(1345-7608)50巻 Page355-356(2020.12)
 
 - 
				
- 当院における両側同時TKAについて 高度伸展制限膝における両側TKAの優位性
 - 山口 浩司(相生会にしくまもと病院 整形外科), 林 茂, 中島 伸一, 橋本 大輔, 井 健太朗, 加茂 裕美
 - 日本人工関節学会誌(1345-7608)49巻 Page585-586(2019.12)
 
 - 
				
- 骨移植を必要とした高度内反膝症例に対するTKA
 - 山口 浩司(相生会にしくまもと病院 整形外科), 林 茂, 橋本 大輔
 - 日本人工関節学会誌(1345-7608)48巻 Page235-236(2018.12)
 
 - 
				
- 脆弱性の多発骨折で薬剤性Fanconi症候群が判明した症例
 - 山口 浩司(にしくまもと病院 整形外科), 林 茂
 - 日本骨粗鬆症学会雑誌(2189-8383)2巻Suppl.1 Page268(2016.09)
 
 - 
				
- RAの高度の伸展制限に対してハムストリングの筋解離を併用したTKAの経験
 - 山口 浩司(相生会にしくまもと病院 整形外科), 林 茂
 - 日本人工関節学会誌(1345-7608)41巻 Page662-663(2011.12)
 
 - 
				
- 単関節炎発症のRA症例 早期鏡視下滑膜切除術と生物学的製剤の併用療法の有用性
 - 山口 浩司(にしくまもと病院), 林 茂
 - 日本リウマチ学会総会・学術集会・国際リウマチシンポジウム56回・21回 .2012.03
 
 
人工関節置換術について ※テレビ取材放送分

名誉院長
林 茂ハヤシ シゲル
1973年卒
- 専門領域
 - 整形外科
 
- 専門医・認定医
 - 
					
- 日本整形外科学会専門医
 - 日本リハビリテーション医学会臨床認定医
 
 
- 所属学会
 - 
					
- 日本整形外科学会
 - 日本リハビリテーション医学会
 
 




